工事現場で使われる足場には、いくつか種類があります。なかでも「くさび式足場」は、使い勝手が良く、幅広い現場で活用されている足場です。
くさび式足場とはどんな足場?
くさび式足場は、「くさび緊結式足場(くさびきんけつしきあしば)」とも呼ばれ、鉄パイプを支柱にし、手すりや柱と柱の間に挿して補強する「筋交(すじがい)」という部品などをハンマーで打ち込んで組み立てます。
くさび式足場に使われる鉄パイプには、「緊結部(きんけつぶ)」というすき間が等間隔につくられており、そのすき間に手すりや筋交の左右にあるくさび部分を打ち込んで強く固定することから、くさび緊結式足場と名づけられました。
かつてくさび式足場は、主に木造家屋をはじめとする低層住宅の工事現場で使用されていました。しかし近年は、一般住宅や中高層建築、面積が狭い土地の工事など、幅広い場面で活用されている足場です。
くさび式足場の特徴・メリットとは
くさび式足場には多くのメリットがあり、幅広い工事現場で活用されています。主なメリットを紹介します。
ハンマー1本だけで組み立て・解体できる
くさび式足場は、柱に手すり・筋交などの部材をハンマーで打ち込むだけで組み立てられ、解体もハンマーがあればできます。簡単な構造の足場のため複雑な工程はほぼありません。細かく位置を調整したりたくさんの部品を使ったりするタイプの足場と比べて、スムーズに作業を進められます。
また、大型の重機を使用する必要がないため、狭い現場の作業にも適しています。
低コスト・短時間での施工が可能
使用する部材がシンプルかつ軽いため、最低2名の作業員がいれば組み立てが可能です。限られた人数で効率良く作業ができる分、人件費をおさえられます。
また、組み立て工程がシンプルで、難しい作業が少ないため、短時間で作業が終わります。さまざまな部材を使用して組み立てる「枠組足場」と比べると、作業時間を大幅に短縮できる足場です。
入り組んだ形の建物の施工に対応できる
くさび式足場に使用する部材は小さなものばかりなので、小回りが利き、入り組んだ形の建物の工事にも適しています。
場所を取らない
部材の数が少なく構造がシンプルなため、コンパクトにまとめて持ち運んだり、保管したりできます。資材の一時仮置きスペースが小さくても問題なく、特に狭い現場には適した足場です。
また、重量も軽く、同じ大きさのトラックでもたくさんの資材を運搬でき、積み下ろしの負担も少ないため、輸送に関する手間やコストを削減できます。
くさび式足場のデメリット
くさび式足場の最大のデメリットは、ハンマーで部品を叩いて組み立て・解体するため、カンカンと大きな音が響いてしまう点です。
騒音を出さずにくさび式足場を使用することはできないため、特に現場が住宅街にある場合は、近隣の住民にあいさつをするなどの配慮をしなければいけません。小規模なスペースで作業する場合は、防音シートで現場を囲うと騒音を軽減できます。
くさび式足場と他の足場の違いを紹介
くさび式足場は、作業のしやすさなどメリットの多い足場ですが、建築物や現場の環境に合わせて他の足場を使用する場合もあります。なかでもよく使われる足場である、「単管足場」や枠組み足場との違いについて解説します。
単管足場との違い
単管足場とは、直径48.6mmの鉄パイプである「単管」を「クランプ」と呼ばれる金具でつなぎ、ボルトで固定して組み立てる足場です。
使用する部材がシンプルなので、くさび式足場以上に狭い現場や複雑な構造の建物にも柔軟に対応できます。
その代わり強度や安全性がくさび式足場と比較すると低く、主に低層階の工事に使用されます。
枠組み足場との違い
枠組み足場は、「枠」と呼ばれるベースとなる門のような形をした部材をボルトや鉄線を使用して組み立てる足場です。
さまざまな部材を組み合わせることで現場に適した足場をつくれ、強度も高いのが特徴です。くさび式足場とは異なりハンマーを使わないため、騒音が少ないのもメリットです。
しかし、使用する部材の種類が多く特殊な部材も使用するので、組み立て・解体には知識・経験が求められます。また、規模の大きい工事では、あらかじめ枠をいくつか組み立て、クレーン車で積み上げていくため、狭いスペースでの作業には向きません。
くさび式足場は幅広い現場で使われている、メリットの多い足場!
くさび式足場は、鉄パイプに部品をハンマーで打ち込んで組み立てる足場です。ハンマーだけで組み立てや解体ができる・コストと時間を節約できるなど、多くのメリットがあります。ただし、ハンマーで叩いて組み立てるため、騒音が出やすいというデメリットがあります。
くさび式足場以外の足場には、単管足場や枠組み足場があります。
私たちアップビルドは、くさび式足場の施工を数多く手掛けている企業です。写真だけで作業の進め方を判断せず現地調査を徹底する、騒音対策として近隣住民の方に丁寧にあいさつをする、周囲が汚れたり傷ついたりしないようカバーをかけるなどの「養生」を細かい部分まで行うといった取り組みをしており、品質の高さには自信があります。